渋谷事変で奮戦を続けながらも、最後は真人の手にかかり命を落とした通称ナナミンこと七海健人。
虎杖に後を託し、かっこよく散っていったように見えますが、すっきりしないモヤモヤ感を抱えている人は多いのではないでしょうか?
ちなみに僕はすごくモヤモヤしています。いや実際にかっこよかったのは間違いなんですけどね。
七海は、個人的に「脱サラ」というところが自分と重なってシンパシーを感じており、かなり好きなキャラの一人でした。
そんな七海の死は、漫画を25年以上読み続けている自分にさえも大きな衝撃と、すっきりしないモヤモヤ感を残しました。
大きな衝撃というのは、漫画を読めば分かりますし至る所に書かれているので詳述はしませんが、準メイン級の扱いだったにも関わらず、あまりにあっさりと死を迎えてしまったこと。
モヤモヤを感じていてすっきりしないの点は、以下の2つです。
七海の死で気になるポイント
・七海は悔いのない最期を迎えたのか?
・灰原は最期に虎杖を指さしながら七海に何と言ったのか?
ネットやSNSを見ていても、正直納得できる答えが見つからなかったので、こちらの記事で七海のプロフィールや死亡前後の状況を深堀りしながら、上記の2点について考察していきます。
七海のことが好きだったせいか、七海の死について半日以上の時間を費やして考察しましたので、ぜひ読んで見てください。
Contents
悲しいけど七海は死の間際に悔いを残していた気がしてならない
1つ目は、七海は悔いのない最期を迎えたのか?という点。
大方の意見と違うかも知れませんが、僕が考え抜いて出した結論としては、七海は最期の最期で、呪術の世界に戻ってきたことに後悔していたのではないかと思います。
陀艮・漏瑚という相次ぐ特級呪霊との戦いを潜り抜け満身創痍だった七海は、多数の敵と遭遇し、自身の望みを口ずさみます。
マレーシア そうだな…マレーシア…クアンタンがいい
呪術廻戦14巻 120話 七海建人のセリフより
なんでもない海辺に家を建てよう 買うだけ買って手を付けていない本が山ほどある
一ページずつ今までの時間を取り戻すようにゆっくりとめくるんだ
違う私は今 伏黒君を助けに
真希さん…直毘人さんは?二人はどうなった?
…疲れた 疲れたな
そう疲れたんだ もう充分やったさ
陀艮との戦いで右目を失い、漏瑚の攻撃により右半身が焼け焦げるほどの大ダメージを受けて錯乱していたようにも見えます。
その中で、マレーシアや本の下りは、満身創痍で死と隣り合わせにいる七海の本心が現われているような気がしてなりません。
もし自分が呪術師ではなかったら、人を助けて感謝されるというやり甲斐を求めるために呪術の世界に戻っていなかったら。
そんな七海の本心が望んでいた「もしも」の願望が、この下りに表現されていると僕は思っています。
更に極めつけは、「今までの時間を取り戻すように」本をゆっくりとめくる、という言い回しです。
社会人として働いていた時のことも含まれているのでしょう。サラリーマンや呪術師として忙しく働く中で、自分の時間を作ることができなかった七海。
本を読むことさえできなかった自身のこれまでの選択を、本心で悔いていると捉えられます。
そして真人と会敵し、自身のこれまでを以下のように回想します。
灰原 私は結局何がしたかったんだろうな
呪術廻戦14巻 120話 七海建人のセリフより
逃げて 逃げたくせにやり甲斐なんて曖昧な理由で戻ってきて
高専に入りながら、一度は社会人になりその後にまた呪術師となった七海。
しかし最期の最期で、自身がなんのために呪術師に戻ったのか、大上段にあったはずの目的が分からなくなってしまったようです。
この七海の述懐に、正直僕は混乱しました。というのも以前に七海が死を覚悟したときとは、七海の感じ方・考え方がガラリと変わっていたためです。
七海が作中で死を覚悟するのは、渋谷事変が初めてではありません。
真人と、吉野の中学校で戦った際に、領域展開に閉じ込められて死を覚悟しています。
その時のパン屋の回想で、人から感謝され「ありがとう」と言われることを生き甲斐とするために、呪術師に戻ったことが描かれています。
すなわち、これが七海にとっての「やり甲斐」または目的と言えます。
更に、真人の領域展開に閉じ込められた七海は死を覚悟し、「感謝は大勢の人からもらった。悔いはない」と言っています。
この時は、最終的に虎杖(正確には宿儺)に助けられて延命しているのですが、渋谷事変の死の間際における心模様と大きく異なります。
これは僕のやや強引な解釈ですが、心境の変化があったのだとすると、真人の領域展開を喰らい死に直面した後に、七海は改めて自身が呪術師であることの目的を考え直したのではないでしょうか?
そこで改めて考え直してみたときに、呪術師であることの目的が、本人にも分からなくなってしまったか、或いははっきりと見つけられなかったのではないかと思います。
元々「生き甲斐などというものとは無縁の人間だと思っていた」と七海本人は考えていますが、何かしらの変化点があったと想定しないとこの変化は説明が困難です。
いずれにせよ、最期の最期で七海は自身が何を成したかったのか分からず、従って達成感を感じることも無いまま死を迎えたのだと僕は考えています。
同じ死を迎えるなら、もしかして七海にとっては真人の領域展開の時の方がよかったのかも知れない、と思えるほどです。
灰原が伝えたのは七海が虎杖に言った「後は頼みます」ではない
もう一つ、七海の死に関してとても気になるのは、灰原が七海に対して何を言ったのか?ではないでしょうか。
ネットでは、「呪いになると分かっていながら『後は頼みます』と言った」つまり灰原が「後は頼みます」と言ったという意見も見られますが、僕は明確に違うと思いますね。
なぜなら、灰原が言ったことを七海は、それは彼(=虎杖)にとって呪いになるから言ってはいけない、と否定しているためです。
合理主義者かつ大人オブ大人の七海が、そんな灰原の言葉をそのまま言うとは極めて考え難いですよね。「後は頼みます」は灰原の言葉ではなかったと考えるのが自然です。
では結局、灰原は何と言ったのか?
気になって夜も眠れないので割と真剣に考え抜き、20以上の候補を出しましたが、それだと載せるには多すぎるので、以下の候補に絞り込みました。
灰原は何と言おうと伝えたか
- 呪術師はクソです
- 呪術師を辞めて普通に生きてください
- (真人の領域展開から)命を助けてくれてありがとう
- 真人を倒して助けてください
- 虎杖君の信念を貫き人を助け続けてください
ここで、灰原が七海に伝えたことを考えるにあたってのヒントは大きく2つあります。
- 虎杖にとって”呪い”となる言葉である
- 灰原が現われる直前に七海は「自分が何をしたかったのか良く分からない(何のために呪術師に戻ったのか分からない)」と言っている
これらを加味すると、ちょっと願望も含めて個人的には5つ目の「虎杖君の信念を貫き人を助け続けてください」が有力ではないかと思います。
この言葉は、虎杖を縛る呪いに大いになりえます。まずこれを七海に言われたことによって呪術師をそもそもやめるという選択肢が無くなってしまいます。
またもし人を助けられなかったとき、七海の望みに応えられなかった、と虎杖自身が失望・絶望してしまうことになります。
七海は知らなかったと思いますが、実際に虎杖は宿儺に身体を乗っ取られ人を大勢殺したことに自責の念を感じていますしね。
七海にも、人を助けてくれと言われたら、逆にさらに絶望感が大きくなってしまうかと。
そして先述したように、七海は呪術師に戻った目的を最期の最期で見失ってしまいました。
虎杖に対しては、せめて自身のようにならないように、とこの言葉が灰原を媒介にして頭をよぎった、と考えるのは違和感がありません。
後の候補は、5つ目と比較すると、弱いかなと思います。
「呪術師はクソ」だったら面白いかなとは思いましたが、七海の「労働はクソ」になぞらえていますが流石に相応しくないですね。
2つ目、3つ目、4つ目はどれも七海らしくないです。
まとめ
七海の死亡に関して気になる2つの点を考察してきましたが、いかがでしたでしょうか?
七海は僕の好きなキャラですが、その死について考えれば考えるほど、ちょっと悲しい複雑な気持ちになりました(特に悔いを残して死亡してしまった、という考察)
こちらの記事では僕の解釈を述べましたが、正解は一つではないはずです。
七海の最期は、すべてが明確に語られておらず読者の想像に委ねられたマルチエンディングなのだと思っています。
この記事を読んでくださった皆様も、ぜひ時間があれば七海の死について考えてみてくださいね。
以下の記事では、七海に関して別の視点で考察していたり、考えをまとめていますので良ければぜひご覧ください。
▼関連考察①▼
【呪術廻戦】七海建人の刺さる名言・名セリフ3選【会社員は反芻すべき】
▼関連考察➁▼
【呪術廻戦】七海建人は何故かっこいいのか?魅力を徹底解説