呪術界では数少ない常識人こと脱サラ呪術師・七海建人。
渋谷事変で死亡してしまい改めて、彼がどんな言葉を遺していたのか、と気になっている人も多いのではないでしょうか?
以下、僕のツイートです。
僕は、七海がかなりお気に入りのキャラです。「脱サラ」ってところが自分と同じなだけではなく、企業組織で長年働いていた人間としてうなづける、共感できるセリフが多い。
しかも七海は外資系証券会社で働いていたようで、外資系戦略コンサルで業務に追われて日々を忙しく過ごしていた自分が、シンパシーを感じる部分も結構あったんですね。
ただ僕自身、ジャンプ本誌や単行本で七海の言動を、なんとなく好感しつつもさらりと流していました。
その死に触れて改めてじっくりとセリフを見直すと・・・やっぱりいいこと言ってますよね。企業勤めの会社員には、はっとするような、思わず3秒間目を止めて考えてしまうような、刺さる名言があってとても良い。
その裏にある思想や信念は見習いたいとさえ思えます。個人的には少年漫画なのに、社会人になって気づく真実とか、働き方改革とか世の中の時流まで捉えているなと思って、結構驚きました。
そんな七海建人の名言を、ちょっと普通とは違った角度で3つピックアップし、僕の経験を交えながら解釈・考えを添えてみました。
Contents
七海建人は王道バトルで特異な脱サラ組
僕の七海プロファイリング
- 脱サラ術師、外資系証券会社(たぶん間違いない)に少なくとも4年勤務
- 分析的思考が強くロジカルでドライ、一方で自分の確固たる信念を持っている
僕が思うに、七海はこんなタイプです。
勤め先は単行本4巻の七海の過去働いていた時の描写からの推測。仕事で外資系金融の人と働いたことがあるけどまさに七海のような感じ。
※詳しくは呪術廻戦4巻を読みましょう
いわゆるエリートサラリーマンだった七海は、ギリギリ第二新卒くらいで呪術師に転職しています。脱サラして戦う人って、ジャンプの王道バトル漫画であまりいないですよね。それだけでも特異な存在。
エリートらしく論理的で合理主義なところが、少年漫画のキャラとして似つかわしくなくて逆に僕は好きです。万人受けするキャラじゃないかもですけどね。
以下の記事では、そんな七海をかっこよく感じる理由について深堀りしています。
▼関連考察▼
【呪術廻戦】七海建人は何故かっこいいのか?魅力を徹底解説
呪術廻戦 七海建人の名言・セリフまとめ
そんな七海ですが、企業や組織で働く人にとって耳が痛かったり実践したいと思える名言・セリフが多々あります。脱サラ組の僕が選んだ思わずはっとさせられる七海の名言、ぜひ反芻してみてほしいです。
社会では必ずしも正しいことが通用するとは限らないと気づかせてくれる名言
事実に即し、己を律する。それが私です。社会も同様であると勘違いしていた時期がありましたが
(呪術廻戦3巻・19話より)
この名言、日本社会の真理を突いていると思いませんか?
僕は七海同様に、長年の会社員生活の中で「企業組織が事実に即し律している」とはあまり思えません。もちろんケースバイケースですが。
事実や論理に乗っ取って律すること、と相反するのは典型的な例で言えば「〇〇さんがこう言っているから」「こういう結論にするためにこの事実は見せるな」と言って事実や論理を捻じ曲げる仕事の進め方が該当すると思います。
僕自身、日系企業やコンサルで働く中で、自分自身で突き詰めてリサーチして考え抜き論理で紡いだ答えがこのような方便で覆された経験があります。「君が言っていることは正しいけど」という枕詞つきで。
僕だけではなく多くの方が経験している、日本社会ではびこっている現象だと思います。
事実や心理を追い求めたくても、いくら事実に則って正しくあろうとしても、ただ正しいだけでは日本社会では通用しない。七海はそのことをボヤいていたんだと僕は思います。
物事の優先順位をつけて生産性を高める大切さを思い出させてくれる名言
いえ、そこそこで済むならそこそこで
(呪術廻戦3巻・19話より)
僕は、日系大手企業や外資系戦略コンサルファームにいて、かなり長時間働く必要がある環境に常に身を置いてきました。
朝の6時から仕事をして夜の2時まで働くなんてことは日常。かつては働いた分だけ自身が成長できる、という考えもあったため長時間労働を是とも考えていました。
労働への時間投入が成長を促す、というのは今でも正しいと思いますが、しかし働き過ぎは心身の健康や幸福度という観点での時間の使い方として良くないですよね。
全てとは言いませんが、特に日本人は長時間労働の要因の一端として完璧主義で無駄なところに時間を使い過ぎるきらいがあります。
何ら価値を生まないような報告書の体裁を整えたりとか、話が進まず何の意味があるのか分からない会議の準備をしないといけないだとか、僕も無駄なことをたくさん経験してきました。
七海のこの名言は、そうした長時間労働や無駄なガンバリズムや完璧主義を、彼自身の外資系証券会社で働き過ぎたという過去の経験をもって否定しているのでしょう。
生産性の向上や働き方改革を掲げる日本のいまの風潮に合致した一言です。そして志だけではなく変えていくためには実践こそが重要ですが、七海は呪術師としての仕事は6時の定時までで原則終わらせることにしています。
大したこと無い敵にはそれほど力をかけない、つまり相対的に価値が低い仕事は力を入れすぎずにそれなりで上手くこなす、というのは生産性を高めるうえで非常に重要な考え方です。
七海のような人がメンターや上司だったらどんなに良かったか・・・。
極限状態で自身以上に他者を思いやる重要性を教えてくれる名言
(灰原 それは違う 言ってはいけない それは彼にとって”呪い”になる)
(呪術廻戦14巻・120話より)
虎杖君 後は頼みます
七海が最後に遺した今わの際の言葉。最後の言葉だけにきわめて印象的でした。
渋谷事変の陀艮(だごん)とので満身創痍になり、真人との遭遇で死が目前に迫っている状況で、虎杖が今後余計な十字架を負わずに呪術師を続けられるように言った「後は頼みます」。
追い込まれた極限の状況において、ここまで他社を気遣うことができる七海は、伊地知が言っている通り「大人オブ大人」ですね。
さすがに現実世界でこの七海のような状況に陥ることは少ないでしょうが、追い込まれる状況はビジネスでもプライベートでも往々にしてあるもの。
僕自身も、仕事の納期が切迫していたり、プロジェクトチームのマネジメントがうまくいかなかったりすると、ついつい周囲への配慮が欠けてしまうことがありました。
そんな時は、七海ばりの大人としての余裕をもって、冷静に物事に対処したいところですね。
少し別の話ですが、灰原が一体七海に何を言ったのかは明言されておらず、読者に解釈させるよう描かれています(芥見先生は本当に見せ方がうまい。良い意味でにくらしい・・・)
その解釈についてもいつか記事を書きたいと思います。
七海以外にも名言多数の呪術廻戦
僕が思うに、世界観だけでなくバックグランドや設定が緻密でキャラひとりひとりに深みがあって信念を持っているから、呪術廻戦は名言がたくさん生まれるのだと思う。
七海を含め、その信念が現代人の心をくすぐるんだと思うんですよね。
例えば、釘崎が1巻で言った以下のセリフも、僕の心に沁み入った名言のひとつ。
(命を)懸けられるわ、私が私であるためだもの
呪術廻戦1巻 第5話
各キャラの名言もいずれ記事にしたいと思います。
こうして単行本を見返していくと思うんですが、呪術廻戦って読めば読むほど発見があって本当に面白いですよね。見事に芥見先生の術中にはまってる気がします。
まとめ
まともであるが故に、呪術師としては異端とも言える呪術廻戦・七海建人の僕的名言を紹介してきました。
会社員の方にとっては、身につまされるセリフもあったのではないでしょうか。
やや堅苦しいかもしれませんが、まんがから学びや気づきを得るのも悪くないですよね!
以下の記事では、七海に関して別の視点で考察していたり、考えをまとめていますので良ければぜひご覧ください。
▼関連考察▼
【呪術廻戦】七海建人が死亡するシーンへの2つの考察